月忌参りにて
毎月の月命日のお参り、月忌参りで毎日何軒かのご門徒さん宅にお邪魔しています。
先日お邪魔したNさん宅でのこと。
Nさんはひとり暮らしの初老の男性ですが、とても聞き上手でいて本人のお話も考えさせられることが多いのです。
Nさんは、そのお人柄からか、たまに友人などに個人的な相談を受けたりするそうです。
それでいろいろなアドバイスをしてあげると、その方は満足して帰っていくそうですが、その人のためにと思って相談役を演じている自分に疑問を感じるのだそうです。
むろん、Nさんはその人のためと思ってアドバイスしているのですが、自分はそんな人間じゃないし、そんな自分を「なにを偉そうに」と思うんだと。
こうありたいという目標や理想はあっても良いのですが、こういう自分であらねばならないという思いが大きくなれば、それを守らねばならずに不本意な自分をも演じる結果になり苦しむことになります。
悩みを持ち苦しんでいる人に、こうすれば良い、ああすれば良いということも大事ですが、ボクもあなたと同じだよ、ボクもそれでしんどいんだよと同じ大地にともに立ってあげることが苦しんでいる人にとってどれだけうれしいことかもしれません。
というようなボクの思いをNさんに伝えました。だって、ボクも住職という肩書きから、Nさんと同じ立場に立たざるをえないことが多くありますもの。
ボクはボクであり、NさんはNさんで、あるがままのボクやNさんであれば良いのです。生きることを演じる必要はありませんよね。
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