思い込み
とあるお宅の満中陰(49日)法要に訪れたときのことで、その家のご親族方は「早いねぇ、もう49日やねぇ」と口々に言っていました。たいがいのご法事では、それが50回忌であっても「早いねぇ」という言葉をよく聞きます。
そこへ、その家のおばぁちゃんがお茶を持ってきてくださいました。ボクは「もう49日たつんですね。早いものですね」と言うと、「なぁにが早いもんかいね。しぃちゃんおらんがんなって(いなくなって)から、この49日の長かったこと、長かったこと」とおばぁちゃん。
びっくりしました。そして、ご法事で交わされる「早いねぇ」という言葉を、いつのまにかボクもそうだと思い込んでいたことに気づかされました。
そして、なによりずぅーっとずぅーっと、何十年もの間、じぃちゃんと連れ添ってきたばぁちゃんの本音に気づかずにきたことに。
人は、大なり小なり思い込みをモノサシに、人と自分を比較しているものなんですよね。人の思いに思いを馳せてやれる、それが思いやりというものだとすれば、大切な人を亡くしたばぁちゃんの思いに思いを馳せてやれず、ボク自身の思い込みで接していたんだなぁと。
思い込みとは、怖いものです。本音を言ってくれたばぁちゃんに感謝です。
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