黒い呪術師
皆さんは、アブドーラ・ザ・ブッチャーというプロレスラーをご存知でしょうか? 1970年に、力道山の作った日本プロレスに初来日し、その後も全日本、新日本と来日を続け、バラエティ番組などにも多く出演した人です。
ボクがプロレスファンであることは、以前にカミングアウトしていますが、そんなブッチャーはボクが最初にプロレスラーという存在を意識した人です。思えば、小学生のころに観た全日本プロレス中継で、地獄突きと頭突き、全体重を乗せたエルボー・ドロップ、さらには隠し持ったフォークを使用しての反則技、衝撃的でしたねぇ(笑)。
そんなブッチャーさん、1941年生まれの66歳だそうですが、今でも元気に現役です。それも、全日本プロレスの冬の祭典たる「世界最強タッグ決定リーグ戦」に、鈴木みのる選手とタッグを結成してのエントリーです。
以前書いた「週刊ゴング」が休刊の結果、「Gスピリッツ」と「Gリング」というふたつの月刊誌と季刊誌という形で復活しました。そのスピリッツの方で、ブッチャーさんのインタビューが掲載されましたが、興味深く読みました。
その中での一節。「初来日した37年前の日本は、本当の日本だった。それは街も人もクリーンだったという意味だ。そして、昔の日本の子どもたちは両親を敬っていた。でも、今はそうした尊敬心がメチャクチャになっていると思う。私は日本の文化、日本人の心を理解しているつもりだ。昔はちゃんと挨拶ができる人が多かった。朝会えば”オハヨウゴザイマス”、昼間は”コンニチワ”。今は日本人がお互いを恐れながら付き合っているように見えるね。特に今の子どもたちはアメリカンナイズされ過ぎている。それは韓国に行っても感じるよ。アメリカンナイズされるのは決して悪いことじゃないが、アメリカの悪い部分ばかり真似してね」と言う。
この国と多くのご縁を持った、ひとりの外国人プロレスラー。彼の目から見た日本の変化は決して間違っていないでしょう。礼をもって接し、礼を持って尽くす、それが彼の見た最初の日本人であり、そんな日本の良いところが悪い意味でのアメリカ化で失われつつあるということなんですね。
決して戦前回帰という意味ではなく、日本人が本来もっていたもの、そして失ったもの、失いつつあるもの、「時代が変わった」という言葉に甘え、ただ日常に流されるのでなくボクらがひとりの日本人としてどう感じるか、が問われているなぁ、と思います。66歳でもがんばるブッチャー、がんばれ!
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コメント
おおブッチャー(さん)、プロレスほとんどわからない私も知ってる!現役ですか、かっこいいっ。
ブッチャーさんは日本や日本人が好きなんですね。
朝○○小学校の近くを歩いていたら、多くの子どもたちに「おはようございます!」と声をかけられた。
挨拶できないのは子どもたちではなく自分自身だと思う。子どもが親を尊敬しないのは、その親が自分の親を尊敬していないことも原因の一つじゃないでしょうか。
投稿: nikoju | 2007年11月22日 (木) 10時51分
家で挨拶がなされてない家の子は、外でも挨拶しないですよね。両親や祖父母が、ちゃんとお互いに挨拶を交わしていると、子どもはそれを自然にインプットしていくものです。
挨拶はコミュニケーションの入り口であって、それを抜きには成立しないといってもいいですよね。
親を尊敬できない、しない、されない。自分は尊敬に値する大人だろうかと自問してみる。道端にタバコを捨てる老人、車椅子マークの駐車スペースに平然と駐車する健康そうなオヤジさん等をみて、あんな歳の取り方はしたくないとは思いますけどね。
投稿: Kei@住職 | 2007年11月22日 (木) 21時16分